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月経前症候群(PMS)
月経前不快気分障害(PMDD)

月経前症候群、
月経前不快気分障害とは

月経前症候群、月経前不快気分障害とは

月経前症候群 (premenstrual syndrome: PMS)は黄体期に出現する多彩な精神・身体症状で、月経開始4日以内にそれらの症状が消失することを特徴とする疾患です。精神症状が主体で、症状が強い場合は月経前不快気分障害 (premenstrual dysphoric disorder: PMDD)に分類されます。

月経前症候群診断基準

過去3回の連続した月経周期のそれぞれにおける月経開始5日間に、下記の情緒的および身体的症状のうち少なくとも1つが存在すれば月経前症候群と診断されます。

情緒的症状
  • 抑うつ
  • 怒りの爆発
  • 易刺激性
  • いらだち
  • 不安
  • 混乱
  • 社会的引きこもり
身体的症状
  • 乳房緊満感主張
  • 腹部膨満感
  • 頭痛
  • 関節痛・筋肉痛
  • 体重増加
  • 四肢腫脹・浮腫

月経前症候群、
月経前不快気分障害の
原因

原因ははっきりわかっていません。黄体期 (排卵から月経までの期間を指します。) にエストロゲンとプロゲステロンが多く分泌されるのですが、黄体期後半にこれらのホルモンが急激に低下し、セロトニン等の脳内ホルモンに異常を引き起こすことが原因と考えられています。またプロゲステロンが原因であることから排卵性月経で起こり、無排卵性月経では起こらないとされています。

月経前症候群、
月経前不快気分障害の
症状

月経前症候群、月経前不快気分障害の症状

月経前症候群の身体症状としては乳房痛・緊満感、腹部膨満感、頭痛、四肢浮腫など、精神症状としてはイライラ、抑うつ状態、不安、易興奮性などが挙げられます。月経前不快気分障害では情緒不安定、イライラ、抑うつ気分、不安、緊張といった精神症状が強く出ます。

月経前症候群、
月経前不快気分障害の
検査

月経前不快気分障害の検査

検査で診断がつくものではなく、診断する上で最も重要なのが問診です。貧血や栄養不良など、月経前症候群と似たような症状を引き起こす原因がないかを確認する必要があります。また診断の補助として、排卵をしているかどうかを超音波などで検査をします。精神症状が重症の場合はうつとの鑑別が必要であり、精神科や心療内科への受診が必要になるケースもあります。

月経前症候群、
月経前不快気分障害の
治療

治療の開始基準はなく、症状により生活に支障をきたしている場合は治療開始の目安となります。生活指導と薬物療法が主な治療となります。生活指導としては、規則正しい生活、十分な睡眠、適度なスポーツが推奨されます。食生活について、カフェイン摂取の制限(カフェインはセロトニン産生に関与するため)、人工甘味料の摂取制限などです。薬物療法として、情緒不安定に対して精神安定剤などが主に用いられます。また黄体ホルモンが関与していることから、黄体ホルモン産生を抑制するために排卵抑制を目的にピルを用いることが多くなってきています。特にヤーズ®はPMSに効果があると報告されています。さらに最近ではヤーズフレックス®による連続投与がより効果的であることがわかってきています。他に漢方薬やPMDDに対してはSSRIなどを用います。