性行為によって
感染する性感染症
性感染症とは、性行為によって感染する病気の総称です。クラミジア感染症、梅毒、HIV、淋菌感染症(淋病)などはよく知られています。性行為を一度でもした人には、性感染症にかかっている可能性があります。特に、不特定多数のパートナーとの性行為をしている人、コンドームを使用しない人(ピルを飲んでいる人を含む)は、リスクが高くなります。少しでも疑わしい症状があった時、症状はないけれど心配なことがあった時には、お気軽に当院にご相談ください。院長である女性医師が、身体と心に配慮した診療を行います。
このような症状で
お悩みではありませんか?
- 陰部やおりものの悪臭
- おりものの増加、色の変化
- 陰部のかゆみ、腫れ
- 性交痛、不正出血
- 排尿時痛、尿道から膿が出る、頻尿
- のどの痛み、腫れ、違和感
上記のうち、1つでも当てはまる場合には、お早めに当院にご相談ください。
どのようにして
感染するの?
性行為とは、性的な行為全般を指します。性器同士によるセックスだけでなく、オーラルセックス、アナルセックスなども含まれます。精液、腟分泌液、血液が粘膜に触れることで、感染が起こるのです。一方、握手、同じグラスに口をつける、タオルの共用、同じお風呂に入るといったことで感染することはほぼありません。
性病検査に
対応しています
当院では、各種性感染症の検査を行っております。
性病検査の種類
・クラミジア:腟分泌物採取
・淋菌:腟分泌物採取
・トリコモナス:腟分泌物採取
・梅毒:血液検査
・ヘルペス:皮膚擦過検査、血液検査
・C型肝炎ウイルス:血液検査
・B型肝炎ウイルス:血液検査
・HIV:血液検査
性病検査の費用
主な性感染症
クラミジア(クラミジア感染症)
原因
性行為によって、クラミジア・トラコマチスが腟、のどに感染して発症します。
近年は、オーラルセックスによるのどへの感染が増えています。母から子へ産道感染することもあります。
症状
1~3週間の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
- 水っぽいおりもの
- 排尿時痛、違和感
- 下腹部痛
- 不正出血
- のどの痛み、かゆみ
治療
抗生物質の内服による治療を行います。
梅毒
原因
性行為によって、梅毒トレポネーマが性器、口唇・口腔内、肛門などに感染して発症します。長期の無症状期間があるため、それが受診の遅れにつながってしまうケースが少なくありません。近年、若い世代での感染が急増しています。第1期を見逃さずに受診し、早期治療につなげましょう。
症状
第1期(感染後3週間~)
以下のような症状が現れますが、治療をせずとも数週間で消失します。
- 性器、口唇・口腔内、肛門の硬いしこり
- 硬いしこりの中心の潰瘍
- 脚の付け根のリンパ節の腫れ
第2期(感染後3カ月~)
第1期と同様、治療をせずとも数週間で消失します。ただし、その後も再発・消失を繰り返します。
- 全身の赤いバラのような湿疹(バラ疹)
- 盛り上がったしこり(丘疹性梅毒疹)
- 平らなしこり(扁平コンジローマ)
第3期(感染後3年~)
主に以下のような症状が現れます。現代日本において、第3期まで進行するケースはごくわずかです。
- 硬いしこり(結節性梅毒疹)
- ゴムのようなしこり(ゴム腫)
第4期(感染後10年~)
各臓器の病変を引き起こし、最悪の場合には命を落とします。
- 心臓、脳、血管、神経の障害
治療
抗生物質の内服により治療します。治療期間は、第1期であれば3週間、第2期では4~8週間、第3期は8~12週間が目安となります。早期であればあるほど治療期間は短くなります。
淋病(淋菌感染症)
原因
性行為によって、淋菌が性器、のどに感染し、発症します。無症状であるケースも少なくありません。一方で放置せずにいると骨盤内炎症性疾患や不妊、異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因となります。また、母から子への産道感染のリスクがあります。オーラルセックスによる、若い世代でののどへの感染が増加しています。
症状
2~7日の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
- 黄色~緑色のおりもの
- 排尿時の違和感
- 外陰部のかゆみ、腫れ
- のどの痛み
治療
抗生物質の点滴により治療します。
尖圭コンジローマ
原因
性行為により、ヒトパピローマウイルスが性器・肛門に感染し、発症します。再発率が高く、治療後も定期的なフォローアップが必要になります。母から子へ産道感染することもあります。
症状
3週間~8カ月の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
- 外陰部、肛門周囲に鶏のとさか状、
カリフラワー状のイボができる - 外陰部のかゆみ、痛み
- 性交痛
治療
薬物療法、または外科的治療を行います。薬物療法では、イミキモドクリームを外用します。外科的治療では、液体窒素を用いた凍結療法、電気メスやレーザーでイボを除去します。
トリコモナス腟炎
原因
性行為、タオルの共用・便座・共同浴場でのトリコモナス原虫の感染によって発症します。そのため、性行為の経験がない人にも感染・発症することがあります。
症状
5日~1カ月の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
- 外陰部のかゆみ、ヒリヒリ感
- 生臭いおりもの
- 黄緑色のおりもの
- 泡だったおりもの
治療
抗原虫薬の内服、腟錠投与による治療を行います。
性器ヘルペス
原因
性行為によって、単純ヘルペスウイルスが性器、口唇に感染して発症します。単純ヘルペスウイルスは一度感染すると、生涯にわたって神経節に留まり続け、免疫力が低下した時に再発します。症状は特に、初感染時に強く現れます。母から子へ産道感染することもあります。さらに、出産前にヘルペスが判明した際は、帝王切開が必要になります。
症状
2~10日の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。
- 外陰部や腟の、痛みを伴う水ぶくれ・潰瘍
- 発熱、倦怠感
- 排尿時痛、違和感
- 足の付け根のリンパ節の腫れ、痛み
- 肛門、お尻、太ももでの発症(再発時)
治療
抗ウイルス薬の内服、外用による治療を行います。重症例では、入院して点滴による投与が必要になることがあります。
HIV感染症、
AIDS(エイズ)
原因
性行為により、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染します。その後、5~10年をかけてさまざまな合併症が出ている状態をAIDS(エイズ)と言います。現在も、国内の新規HIV感染者、AIDS発症者は増加し続けています。
症状
2~3週間の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れます。その後、5~10年の無症状期間を経て、免疫不全による日和見感染、がんなどを引き起こします。
- 発熱
- 倦怠感、筋肉痛
- リンパ節の腫れ、痛み
- 皮疹
治療
主に、抗HIV薬の内服による治療を行います。また2022年には、初の特効性注射薬が登場しています。1~2カ月に1回の注射により、体内のウイルス量を抑制します。